ママたちのアイデアが西尾の伝統工芸「きらら鈴」を盛り上げる
子どもたちの笑い声が響く作業場で、黙々と作業をする若い女性と年配の男性。
彼らが作っているのは西尾の民芸品「きらら鈴」。
きらら鈴を子育て中の母親が作ることで、まちの伝統を引き継ぎながら社会で活躍するというプロジェクトが始まっています。
プロジェクトの中心人物は、2人の子どもを育てる森下結季子さん(巨海町)。
「結婚して西尾に移り住んだ。人は優しいし、自然もある。支援もあって子育てしやすい。でも、出産を機に仕事を辞め、知り合いが少ない環境で子育てするのが不安だった」。
孤独を感じ、気持ちが落ち込むこともあったという森下さんは、母親が子育てをしながら社会とつながる場所、働ける場所が必要だと考え始めました。
そんなとき、同じ「子育て感」を持つ越智久美さん(寺部町)と出会い、意気投合。
暮らしと仕事が心地よいバランスで続けられる方法を探す「くらしゴト探求部」を結成します。
母親が個人として輝ける方法や子育てしながらできる仕事を探していると、きらら鈴が存続の危機にあることを耳にします。
きらら鈴は八ツ面山で採掘される雲母(きらら)を使った西尾の民芸品で、昭和40年ごろには贈り物や土産物として盛んに生産されました。
しかし、現在その担い手は松田克巳さん(八ツ面町)ただ1人。
きらら鈴の製作を通して、子育て中の母親が活躍できるのではないかと森下さんは考えます。
「今は大量生産、大量消費の時代。だからこそストーリーのあるもの、作り手の思いが込もり、大事にされるものを作りたい」と石原菜名子さん(岡崎市朝日町)と磯谷恵実さん(室町)も賛同しプロジェクトに参加。
2019年10月には、活動の資金調達とPRのため、クラウドファンディングに挑戦し、1か月で46人の方から、約15万円の投資を受けることができました。
「くらしゴト探求部を母親としてではなく、個人としての失敗をしながら、自己実現できる場所にしたい。どうすれば成功できるか考えるのが面白い」と森下さんは目を輝かせます。
きらら鈴を作り続ける松田さんも「きらら鈴に興味を持ってもらえてうれしい。少しでも多くの人に知ってもらえる機会になるかもしれない」と、くらしゴト探求部に製作を指導し、優しく見守っています。
世間では女性の社会進出が叫ばれていますが、子育てとの両立には多くの困難があります。
そんな現実に直面しながらも、「一歩踏み出したことで、本音で話せる仲間に出会えた」と話す森下さん。
くらしゴト探求部の皆さんも、同じ「子育て感」の仲間に出会えたことが宝物だと話します。
目標に向かい、自分らしく挑戦を続けるママたちのきらめきは、きらら鈴のようにいつまでもきらめき続けます。
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