西尾特集記事

2020.12.11西尾

新規就農で新名物を生み出す ゆたか農園

ポポー、フェイジョアと聞いて、何の名前かご存知ですか。

ポポーは北米原産の果物で、強い甘みとなめらかな食感、バナナとマンゴーを合わせたような味が特徴。
フェイジョアは桃と洋梨を合わせたような味が特徴で、ニュージーランドで盛んに生産されている果物。

この国内であまり栽培されていない2つの果物を、市内で唯一栽培・加工・販売しているのが平原町にあるゆたか農園。
東幡豆町出身の岡田拓也さん(吉良町)と北海道出身の妻・由美さん家族が営む農園では、ブルーベリーやブラックベリーなども栽培していて、収穫が最盛期を迎える夏には果物狩りを楽しみに県内外から多くの人が訪れます。

以前は県内の大学で非常勤講師を務めていた岡田さん家族。
ある時、由美さんの友人が営むブルーベリー農園を訪れた拓也さんが、あまりの美味しさに感動と衝撃を受け、結婚を機に新規就農を決意。

しかし、「当時の仕事に将来的な不安を抱いていたし、農業を仕事にしようと思い立った。」と決意を胸にスタートしたものの、就農に必要な土地探しから難航。知り合いのツテを頼り、平原町で土地を貸しくれる地主さんを紹介してもらうことから始めましたが、柿畑だったその土地は長い間放置されたままの荒れ果てた状態で、大学に勤める傍ら、スコップなどを使い手作業で切り開いていきました。

始まりから畑を借りてから4年が経過した平成25年、ついに農園を開園。
由美さん、拓也さん、息子の和樹くんの名前の頭文字を取り、ゆたか農園と名付けます。

そんな中、新規就農に向けた準備を進める中で出会ったのが浅井敏彦さん(熊味町)。
拓也さんが農園の近くで薪ストーブの薪を分けてもらっていた浅井さんに声を掛けたのがきっかけで、農作業や鳥よけのネット張りを自然と手助けしてもらう、農園には欠かせない存在。
今では息子の和樹くんも「おじいちゃん」と呼び、4人で旅行に行くなど、家族のような関係になっています。

開園して間もなく、テレビとインターネットでポポーとフェイジョアの存在を知った拓也さん。
ブルーベリーなどが実らない秋から冬に収穫できることもあり、「面白そう」と栽培を始めますが、全国を探しても栽培する農家は見つからず、自分たちでやるしかありませんでした。

「果物は手をかけた分、いい果実が実る。」

拓也さんは試行錯誤の末、安定して栽培できるようになりました。

ゆたか農園では「直接口にするものだから、栽培に農薬は使わないようにしたい。」という由美さんの思いから、凝固剤や酸化防止剤を一切使わない、安心して食べられる手作りジャムも販売しています。

また、現在では農園の果物を料理やお菓子に使う店舗も増えているそうで、地元食材を使用したジェラートを手がけているウィリアムズ・ジェラート(寺部町)の牧一心さんもゆたか農園ファンの一人。
「フェイジョアはさっぱりしていて、ジェラートにも合う。珍しい材料が新鮮な状態で地元で手に入るのはすごくラッキーですよ。」
大切に育てた果物に手を加え、多くの人にその魅力を広めています。

「これまでやってこれたのは、平原の皆さんのおかげ。よそ者だった私たちを温かく迎え、気にかけてくれる。」
「ポポーやフェイジョアを作る人が増え、抹茶に並ぶ西尾の特産になれば。」

熱く語る拓也さんの言葉と土まみれのたくましい手が、これまでの苦労を物語ります。

新規就農や珍しい果物の栽培など、挑戦を続ける岡田さん家族。
西尾に根付いた志は、地域の皆さんに支えられながら、多くの実りをもたらしてくれるのだと感じました。